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【植物の分類】宿根草とは?多年草や一年草、低木との違いを詳しく解説!

 今回はコラムとして,植物の分類について記事にしてみました。『ガーデニング』は植物学がベースになっていますが,少し芸術的な要素も入っているためか,用語の定義などが何かと曖昧なことが多いように感じています。今回は,その中でも特に分かりにくい『多年草』と『宿根草』の違いに焦点を当ててみました。

 いろいろ情報を調べてみたのですが,後で書きますように日本語のサイトだけ見ても諸説あって良く分からず,海外のサイトまで広げて調べた結果,ようやく正しい分類が分かってきました。今回の記事ではかなり厳密を喫しながらも,分かり易く図示してみました。

 

植物の分類と『多年草』と『宿根草』の違い

  次が植物の分類をツリー状に示したものです。まず植物は大きく『樹木(木本)』と『草花(草本)』に分かれるのですが,今回は草のみについて書いています。木の分類については,また別途記事にいたいと思っています。

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  まず草花(草本)は,植物の最初の枝分かれで,『1年草』『2年草』『多年草』の3つに分類されます。

一年草:Annual Plant

 一年草は,発芽から開花さらに枯れるまでのサイクルがおよそ1年間(Annual)の植物です。本来多年草ですが,日本の環境では一年草『扱い』と表記されているものも見ます。

 こちらが,一年草の実例として我が家にある一年草を紹介しています。

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2年草:Biennial Plant

 二年草は,発芽した状態で1年越して2年目に開花してその年に枯れる植物です。つまり生死のサイクルが2年間(Biennial)の植物です。

多年草:Perennial Plant/Perennials

 多年草は,一度株が成長したら何年も枯れずに生き続ける植物です。英名は,『Perennial Plant』もしくは,単語1つで『Perennials』です。『Perennial』とは,「多年性の」とか「長く生き続ける」という意味の形容詞で,『Perennial Plant』を直訳すると多年性植物,あるいはそのまま『多年草』となります。

 

 以上のことから基本的な植物(草)の分類は,『1年草』,『2年草』,『多年草』の3つになります。

 ちなみに,『1年草』,『2年草』,『多年草』の3つは『草』のみに適用される分類になります。つまり,『木』の類は多年生を持ちますが,『樹木』に分類され『草』ではないので『多年草』ではありません。

 

 ここで最後に出てきた『多年草』の中に,『常緑多年草』と『球根植物』,そして『宿根草』が含まれます。

多年草の分類

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常緑多年草:Evergreen Perennial (flowering) Plant 

 代表的なところですが,クリスマスローズ等がそれに該当します。常緑(Evergreen)の名の通り,1年中葉を残す植物です。1年中葉を残している時点で1年草はあり得ませんし,実際多年性を持つので,『多年草』の1つとして分類されます。

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球根植物:Perennial Bulbous Plant

 「チューリップ」や「シクラメン」などの球根性(Bulbous)の植物が該当します。球根植物は多年性を持ちますので,『多年草』の1つとして分類されます。

宿根草:英名なし

  それでは宿根草とは何でしょうか。それは多年草の内常緑多年草でもなく,球根植物でもない植物です。つまりその名の通り,毎年休眠期(冬,夏)に地上部の一部あるいは全体が枯れるが,根は枯れずに休眠し,成長期にまた芽吹く植物です。『サルビア』や『エキナセア』等がそれに該当します。 ちなみに,海外では宿根草』に相当する分類がなく英訳は存在しません。

 日本で『宿根草』の英訳を『Perennial Plant』としているものも見ますが,『宿根草』が『多年草』(Perennial Plant)に含まれるという意味では正しいですが,正確に1対1に対応した英訳ではないです。

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 ところで『宿根草』は『しゅくこんそう』ではなく『しゅっこんそう』と読むみたいですね。自分は敢えて『しゅくこんそう』と呼んでいますが。。

園芸上の分類

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 以上が植物学的な分類で,一部海外での分類も紹介しました。

 しかし,日本の園芸界では本記事と同じ分類も多く見ますが,一部では『常緑多年草』まで含めて『宿根草』と呼んだり,それどころか『球根植物』まで含めて『宿根草』とする(つまり『多年草』=『宿根草』)向きもあるようです。このように,日本の園芸界では諸説あり,統一されていないようです。

 しかし,後者のいずれの分類も,明らかに1年中葉が残っているクリスマスローズを『宿根草』と分類することになり,日本語としていかがなものかと(理系の自分は)個人的に違和感を持ってしまいます。

海外での分類方法(=本記事の分類)

 海外での分類をより詳しく書きますと,1年草(Annual Plant),2年草(Biennial Plant),多年草(Perennial Plant)という分類が基本で,さらに多年草の中で常緑のものを『常緑多年草』,球根性ものを『球根植物』とする分類になっています。

 つまり,本記事で書いている植物学上の分類と同じです。そして唯一の違いは,『宿根草』に相当する分類がないことです。つまり,日本では宿根草に分類される『サルビア』は,海外では総称である多年草(Perennial Plant)に分類されます。

 それでは,日本の園芸界での分類はなんでこのように曖昧なのでしょうか?自分は次のように想像しています。(経緯が間違っていたらすみません)

日本の園芸界で分類が統一されない理由を推測 

 おそらく多年草(Perennial Plant)という言葉が輸入される以前から,宿根草というフワっとした園芸用語があった。そこに,『Perennial Plant』という植物の性質を適切に言い当てた言葉が輸入された。そこで,既存の『宿根草』を訳に充てることも考えたが,意味が一致しない。そこで適切な日本語訳として『多年草』という新しい言葉が生まれ,その結果,『多年草』と似て非なる言葉である『宿根草』がバッティングしてしまった。植物学的には,この記事で書いたように『宿根草』を『多年草』の一部とすることで,すっきりと分類できた。一方,園芸界では曖昧なものが曖昧なまま残り,従来からありフワっとした言葉である『宿根草』に『常緑多年草』を含める分類や,『宿根草』=『多年草』とする分類が混在し,統一されることなく今に至った。そんなところだろうと思っています。

 

 いずれにしても『宿根草』というと,「冬に地上部が枯れ地中で根が休眠している」という意味を感じる言葉なのに『常緑多年草』が含まれるのは違和感を感じるので,今後も今回の記事で紹介したリーズナブルな基準(=植物学的=海外基準)で分類していきたいと思っています。

 

最初は草っぽいけど木質化する植物は?

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 最後に,これまた『多年草』や『宿根草』と間違えやすい『常緑低木』について正しい定義をみて行きたいと思います。

 例えば『ローズマリー』『ルリマツリ』『チェリーセージ』は,苗を買うときには完全に草ですが,成長すると木質化していきます。これらは多年性ではあるものの,分類上は『低木』になります。 またこれらいずれの植物も落葉せず,一年中葉をつけているので『常緑低木』(Evergreen Shrub)となります。

 これらの植物は『多年草』や『宿根草』と間違えられるときがありますが,『多年草』の英名である『Perennial Plant』をWikipediaで調べてみると,次のようにあります。

 

『The term is also widely used to distinguish plants with little or no woody growth from trees and shrubs, which are also technically perennials(出典:Wikipedia)』

 

この用語(Perennial Plant)は,少しあるいは全く木質化しない(多年生を持つ)”植物”と,テクニカルには(実質的には)同じく多年性を持つ(木質化する)”木や低木(shrubs)”と区別するために広く用いられる

 

 木や低木は多年性を持ちますが,木質化して草ではないので『多年草』ではない,ということなります。また,多年草に含まれる『常緑多年草』『宿根草』『球根植物』でもない,ということになります。

 

 最初のツリーの分類を見てみます。多年草から1番上の植物まで遡り,木(木本)に降りて,さらにそこからずっと降りてきたところに『常緑低木』は位置づけられます。つまり,常緑低木と多年草は大元からして異なっている,ということが分かります。 「略」となっている部分や,さらに細かい低木の分類については後日記事にしたいと思います。 

 

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 最後に,次の記事では,草っぽい常緑低木の実例として,『常緑低木グランドカバー』をまとめています。つる性の常緑低木が多く含まれますが,いずれも低木類ですので,参考になるかと思います。

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まとめ

 今回は比較的厳密に,『多年草』『 宿根草』 違いを中心に草花(草本)を分類してみました。

  • 『宿根草』は,『常緑多年草』『球根植物』とともに『多年草』に含まれる
  • 日本の園芸界では,上記分類の他,『常緑多年草』まで含めて『宿根草』と呼んだり,『多年草』=『宿根草』となっていたり,統一されていない

  • 海外では,『常緑多年草』『球根植物』とともに『多年草』に含まれるが,『宿根草』に相当する言葉がない
  • 木質化する植物は多年性はあるが,『草(草本)』ではないので『常緑低木』に分類される

 記事内にも書きましたように,今後は木の分類も記事にしていきたいと思います。