最近普及してきている生成AIですが,適切なプロンプト(質問文)を用意すれば適格な答えを出してくれてとても便利です。今回は,植物育てていれば一度は気になるガーデニング関連の疑問のいくつかについて,生成AIに質問にして答えを聞いてみました。本ブログでも記事にした疑問を中心に,答えが分かっている質問を中心にしましたが,間違いも多くて意外な結果になったので紹介してみたいと思います。*使った生成AIはChatGPT3.5(無料版)です。
生成AIで植物について調べてみた
まずはシンプルに植物の情報について調べてみました。
対象にしたのは,少しマニアックですが最近本ブログで記事にした常緑低木「ギンバイカ」ついてです。
プロンプト(質問文)はシンプルに「ギンバイカについて教えてください」です。
その結果が以下です。
一見,また「花」「葉」「栽培」などの特徴や育成方法も丁寧に箇条書きで教えてくれて有用そうに見えるのですが・・・
よく見ると不正確な情報も多い
よく見ると間違いも結構あります。
まず,ギンバイカは落葉低木ではなく,冬も葉が残る常緑低木です。
✕:落葉低木
〇:常緑低木
また,スイカズラ科とありますが一般的にギンバイカはフトモモ科に分類されます。
✕:スイカズラ科
〇:フトモモ科
また,花については”12-2月に「黄色い花」”とありますが,実際には5-7月の初夏から夏にかけて花が咲き花色は白です。
必要な情報も不足している
また本来あって欲しい情報もかけています。例えば,「ギンバイカ」はハーブとして使われ別名「マートル」とも呼ばれますがその情報がありません。
また葉色も原種は緑の単色ですが,斑入りの品種も多く出回っていることから,こちらの情報も本来あって欲しいところだと思います。
生成AIで「宿根草と多年草の違い」を調べてみた
次に調べたのは,ガーデニング初心者なら一度は疑問に思う「宿根草と多年草の違い」です。プロンプトはシンプルに,「宿根草と多年草の違いについて教えてください」です。
結果は以下です。
いろいろな間違いを発見
こちらも一見,それっぽい理路整然としたような結果に見えますが,間違いが多いです。
本ブログでも同疑問について,国内外のサイトの情報等を使って調べた正しい定義を記事にして紹介しています。
まずは宿根草の読みについて”宿根草(しゅくこんそう)”とありますが,正しくは「しゅっこんそう」と読みます。(個人的には,「しょくこんそう」の方が自然と思っていますが笑)
また,「宿根草は,地下に根を張り,地上には地上部が冬季や厳しい環境条件下でも死なずに残ります」とありますが(日本語自体が怪しいのは置いておいて笑),実際には「宿根」の名の通り冬場に地上部がなくなります。
逆に多年草の記述も不正確で,”(冬に)地上の部分が一定の期間で枯死し”とありますが,「多年草」は地上が枯死する「宿根草」と枯死しない「常緑多年草」を含む総称なので,「枯死する」とするのは誤りです。
さらに,多年草の例として,バラ?や松??などが挙げられています。
これらはもちろんそもそも草花(草本)ではなく低木(木本)なので完全に誤りです。
生成AIの情報の精度が低い理由
ここまで生成AIを使って,特定の植物の情報と,植物の分類(宿根草と多年草)について調べてみましたが,「ときどき間違いもある」というレベルではなく,かなり間違いの頻度が高いことが分かりました。
理由の1つ目として,生成AIの学習データが2021年9月までに限られるということがあります(GPT-3.5もGPT-4も同じ)。そのため,植物学上の科属など分類がアップデートされていても,それが反映されていない可能性があります。
理由の2つ目として,現時点においてもそもそも学習に使われるWEB上の情報が誤っている場合があることが挙げられます。
今回2つ目の事例で挙げた「宿根草と多年草」の違いについても,数年前までは冬に常緑多年草小型の低木類も草っぽいからという理由でなんでもかんでも「宿根草」に分類しているサイトがかなりありました。
現在(2024年2月時点)では,だいぶ修正されるサイトも増えてきていますが,それでもそのままになっていたり,最近の記事でも間違えたままの情報が大手のサイト含めて多数あります。
という訳で,殊ガーデニングや植物の分野では,生成AIそのものだけでなく,そこで学習に使われているインターネット上の情報そのものに不正確なものが含まれているので,信頼性のある出力を得るのは難しいというのが現状だと考えています。
まとめ
今回は,流行りの生成AIを使って植物の情報を調べてみました。その結果,情報の間違いや不足がかなり多くて,この分野では正直使い物にならないという印象でした。今後の生成AIの正確性の改善を期待しつながら,当面は生成AIやネットから得られた情報を鵜呑みにしないで,自分で考えて解釈,判断する姿勢が求められるのかな,というのが今回の結論です。