園芸店やガーデニング系のサイトで見かける「山野草(さんやそう)」という植物の分類。なにかと曖昧な(日本の)園芸界にあって,ふわっとした定義でこれまた分かりずらい「宿根草」などより,さらに感覚的な語感のする「山野草」。なんとなく野性的な植物なんだろうな、という雰囲気は伝わりますが,今回は不思議で曖昧な謎の分類「山野草」について調べてみました。
ネットで見つかる定義
まずネットで「山野草(さんやそう)」の定義を調べてみました。
草花を山野草(さんやそう)とよび、高山や里山に自生する草本および低木のこと
検索上位に出てくる庭づくりの外構業者のサイトですが,最初に山野草は「草花」であるとしながら,草本だけでなく木本である「低木」と含むとあり,もはや意味が分かりません。。
次に言葉の定義と言えばのWikipediaで調べてみました。
山野草(さんやそう)または山草(さんそう)・野草(やそう)とは、国内外の平地から高山に至る野外に自生する観賞価値のある草本、低木及び小低木の一部を含む幅広い意味を持つ言葉であるが、日本国内における近代的な山野草栽培の歴史は100年程度と浅く明確な定義はなされていない。(Wikipedia)
こちらも低木を含む広い意味を持つと書いています。これはおそらく実際に上に載せたような使い方をする人達がいてしまうから,言葉の使用の実態を書いているのだと思われます。
最後にガーデニング用品で有名なハイポネックスのページの記載です。
山野草は、明確な定義はありませんが、山や野原に自生する観賞価値のある草花のことを総称します。(https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-8830/)
正直こちらがこれまでで最も「山野草」の言葉から伝わるイメージに近いです。一点,「自生する」というところで,海外原産で外国の山や野原に自生する草花は「山野草」になるのでしょうか?というとこが気になります。
園芸店におかれている山野草
実際に「山野草」としたはどうったものがあるのか?大型園芸店に訪問して確認してみました。訪問したのは神奈川の大型園芸店の一つ「グリーンファーム金沢本店」です。
こちらが「山野草」の売り場です。(ちなみに山野草の専用コーナーは大型店でないと見かけないことが多いです。仮にあったとしても店舗の外れにの方にある地味なコーナーだったりすることが多いです。。)
ちょうど山野草の説明あります。
「山野草=野や山に自生する鑑賞価値のある草花の総称」ということで,先にハイポネックスの解釈に近いです(というより文体やワードのチョイスから,引用して少し変えただけと思われます)。
おすすめの山野草も紹介されていました。
見てみるとスミレ系の草花が多く,植物の分類上は多年草,それも冬に地上部がなくなる宿根草が多いようです。
以前成長記録を紹介した「キキョウ(桔梗)」も日本に自生する草花ということで「山野草」として置かれていました。
華やかな洋庭に会う草花や低木中心に育てているので,見慣れない名前の植物が多いです。。
山野草の定義の”落としどころ”
当ブログで正しいと考える基本の定義
ここまで「山野草」についてネットをはじめとしたガーデニング界隈での用法のいくつかを確認し,また「山野草」どのような植物なのかを見てきました。
これらを踏まえて本サイトでは,次のように定義しておきたいと思います。
『日本の山や野原に自生する鑑賞価値のある草花であり,植物の分類上は多くが多年草(常緑多年草,宿根草,球根)に含まれる』
まずどこに「自生」しているかですが,一般的に園芸店などで1年草,宿根草,低木として扱われている植物のほとんどが,外国が原産のもともとは海外に自生する植物なのです。なので日本独特の分類である「山野草」の自生地は日本となります。
また,基本的な植物の分類ですが山野「草(くさ)」とあるのだから,さすがに「低木」は含めるべきではないでしょう。(大手の園芸サイトでは未だに山野草に低木も含むとしているものもあったりしますが。。)
「山野草」の定義の結論
さらに突っ込んで,草花の中の何に分類されるのか?考えてみます。
自生しているということは何年も繰り返し育つということです。となると,「山野草」は草花の中でも繰り返し何年も生育する「多年草」ということになります。ただし,種をばらまくことで疑似的に多年草のように毎年咲くことができる植物もありますので,一部1年草も含まれるということになります。タンポポは一年草の山野草です。
という訳でまとめると,再掲ですが山野草とは下記が妥当な定義になると思います。
『日本の山や野原に自生する鑑賞価値のある草花であり,植物の分類上は多くが多年草(常緑多年草,宿根草,球根)に含まれる』
まとめ
今回は,園芸やガーデニング界隈で不思議な存在「山野草(さんやそう)」という植物の分類について考えてみました。この業界の特徴で相変わらず曖昧でいろんな定義が乱立しているようですが,尤もらしい答えは導けたと思います。山野草の謎はガーデニングをやっていれば一度は気になるところだと思うので,参考になれば幸いです。