今回は,雑草には見えない色とりどりの美しい花を咲かせる植物(雑草)を集めてみました。
近所の公園を散歩していると,道端やちょっとしたスペース思わぬきれいな花を咲かせている雑草を見かけることがあります。園芸店に売られている苗だと名前を確認できるのですが,雑草の場合はなかなか名前を見つける手がかりもなかったりします。そこで今回の記事では,比較的よく見かけるものを中心に,きれいな花を咲かせる雑草を紹介してみたいと思います。いずれも,我が家(神奈川南部)の裏庭や近くの公園で自生しているものです。
雑草には見えない雑草9選
まず雑草(ざっそう)の定義を調べると,『人間の意図にかかわらず自然に繁殖する植物のこと(Wikipedia)』とあります。つまり,いわゆる園芸植物との違いは自然に繁殖するということだけで,普通の植物同様に『1年草』,『2年草』,『多年草』に分類できます。
毎年蔓延り,時に厄介な雑草は,その性質から何年も根が生き続ける『多年草』である場合が多く(その中でも冬には地上部が枯れる『宿根草』),1年草の場合でも種なので繁殖性能が高かったりします。
植物の分類については,詳しくは下記の記事をご覧ください。
ちなみに似た言葉に『野草』という言葉があります。『雑草』と『野草』の違いですが,『野草』は『雑草(人間の意図にかかわらず自然に繁殖する植物)』の中で特に,『人の管理していない山野に自生する植物』を指しようです。
それでは本題であるキレイな花を咲かせる雑草を紹介していきたいと思います。
①オオイヌノフグリ
種類 | 多年草―宿根草 |
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名 | Veronica persica |
花色 |
青 |
開花時期 | 2~5月 |
草丈 |
10cm |
オオイヌノフグリは,春先の2~5月に薄い青い小さな花を咲かせてくれる植物です。自然公園などでよく見かけます。名前の由来ですが,なんと「イヌ」の「フグリ」とは,「犬」の「陰嚢」に形が似ていることからつけられた名前のようです。
こちらの記事にでも紹介している,『ベロニカオックスフォードブルー』に花の色形が似ています。
ともに『多年草』ですが、オックスフォードブルーは『常緑多年草』 ですが,『オオイヌノフグリ』は冬に葉が枯れる『宿根草』です。青の花がとても爽やかで美しく,春の訪れを感じさせてくれる雑草です。
②ナガミヒナゲシ
種類 | 一年草 |
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名 | Papaver dubium |
花色 |
青(他,紫,ピンク,白 など) |
開花時期 | 4~5月 |
草丈 |
30~60cm |
ナガミヒナゲシは,春から初夏の4~5月にヒョロっとした茎に,特徴的な1重の形の良い美しいオレンジ花を咲かせる植物(1年草)です。
一般的な雑草の特徴として,花はキレイでも,それ以上に葉茎が生い茂ることも多いですが,ナガミヒナゲシの場合は葉茎は控え目に,存在感のあるオレンジ花を咲かせてくれます。
こちらの写真は我が家の庭の一角に自生したナガミヒナゲシですが,左下の『ツルニチニチソウ』や右下の白花の『スーパーアリッサム』(分かりにくいですが。。)と上手く調和してくれています。雑草ですが,抜くのが惜しいと思わせる雑草です。
③ヒメツルソバ(ポリゴナム)
種類 | 多年草―常緑多年草 |
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名 | Persicaria capitata |
花色 |
ピンク,白 |
開花時期 | 10~6月(4季咲き) |
草丈 |
10cm |
ヒメツルソバは,古くは明治時代に日本に導入されたようですが,今では野生化した常緑多年草です。ピンクや白の金平糖のような形のかわいらしい花を咲かせてくれる雑草です。良く家の擁壁の隙間で繁殖しているのを見かけます。花は四季咲き,葉は常緑で(地域により落葉),春は黒い模様のはいった濃い緑の葉色が美しく,冬は赤色に紅葉しこれも季節を感じさせて美しいと,割と1年中楽しめます。使い勝手がいいためか,園芸店で苗が売られているくらいです(買ったことはないですが。。)。
ただ一度環境が合って増えると,制御不能なほど増殖するので注意が必要です。
④タカサゴユリ(根性ユリ)
種類 | 多年草 |
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名 | Lilium formosanum |
花色 |
白 |
開花時期 | 8~10月 |
草丈 |
1m |
夏から初秋にかけて,もともと台湾から導入されたユリの一品種が,その繁殖力から野生化したもののようです。 半日陰を好んで自生し,夏の終わりにかけて急成長,いつの間にか10cmくらいの大輪の花を咲かせます。別名,『根性ユリ』とも呼ばれています。
⑤ツユクサ(露草)
種類 | 一年草 |
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名 | Commelina communis |
花色 |
青 |
開花時期 | 7~9月 |
草丈 |
30~60cm |
ツユクサ(露草)は,夏ごろに青い花を咲かせる雑草です。名前の由来ですが,朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたそうです(Wikipedia)。半日陰の湿度高めの場所で良く自生しているのを見かけます。
葉の雰囲気は思いっきり雑草なのですが,花が本当に美しく,絵の具のようなここまでピュアで美しい青は珍しいのではないかと思います。(多くの場合,青花でも紫がかっている場合が多い。)
1年草なので冬には枯れますが,秋にできる種から繁殖するので,殖やしたくない場合は種ができる秋前に刈り取る必要があります。
ちなみに,この『ツユクサ』ですが,次の記事でご紹介した雑草『コブナグサ』に葉の形がかなり似ているのでご注意ください。
⑥タツナミソウ
種類 | 多年草―宿根草 |
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名 | Scutellaria |
花色 |
紫,白 |
開花時期 | 4~5月 |
草丈 |
30cm |
タツナミソウは,春に上品な紫色の花を咲かせる植物です。写真を見て分かりますように,花より葉が目立ちがちな雑草において,紫花に存在感がありとても美しいです。
こちらは近所の擁壁の隙間に自生しる白花のタツナミソウです。こちらも控え目な葉に対して,白花に存在感があります。雑草とは何かを考えさせられる?上品でおすすめの雑草です。
⑦セイタカアワダチソウ
種類 | 多年草―宿根草 |
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名 | Solidago canadensis |
花色 |
黄色 |
開花時期 | 8~10月 |
草丈 |
1.5~2.5m |
『セイタカアワダチソウ』は,草丈が2mくらいまで大きくなる多年草の雑草です。秋になると結構どこでも見かけて,いかにも雑草に見えますが(笑),今回背の高い雑草が少なかったので敢えて選んでみました。
花は鮮やかな黄色で,夏の宿根草の定番『オミナエシ』にとても良く似ています。
違いは,『オミナエシ』が草丈が最大1~1.5m程度なのに対して,『セイタカアワダチソウ』の方がさらに大きく最大2mくらいになります。また,『セイタカアワダチソウ』は花全体のフォルムが縦長の三角形状(少し分かりにくい・・・)です。群生しているといかにも雑草ですが,花だけ見ると美しい雑草です。
⑧ホトトギス
種類 | 多年草―宿根草 |
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名 | Tricyrtis hirta |
花色 |
紫,白 |
開花時期 | 9~11月 |
草丈 |
40~80cm |
ホトトギスは,秋に紫の斑点のある直径2~3cmの花を咲かせます。草の生い茂った少し湿っていて,日陰の場所で見かけます。
昔は,その日陰でジメジメした自生場所と,少し毒々しい花の模様から苦手でしたが,だんだん華やかで存在感のある花姿に思えてきたので今回載せてみました。実際花の少ない秋の時期に,明るい遠目から見ると薄紫に見える明るい色がワンポイントになり,エリアを明るくしてくれます。
⑨ヨメナ (野菊)
種類 | 多年草―宿根草 |
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名 | Aster yomena |
花色 |
白~水色 |
開花時期 | 8~11月 |
草丈 |
60cm(半這性のため) |
ヨメナはノギク(野菊)の一種で,夏から秋にかけて2cmくらいの小さなに白花を株いっぱいに咲かせます。同じキク科で花の小さいノコンギクとは見た目がかなり似ていて,写真では判別が難しいです。
我が家では,裏庭のやや湿った半日陰のエリアに毎年咲いてくれています。この花姿を見ていると本当に園芸店に売っている苗に負けない,華やかさがあると思います。こんなキレイな雑草ならどんどん増えて欲しいものです(笑)
まとめ
今回は,雑草には見えない綺麗な花を咲かせる雑草を紹介してみました。比較的よく見かけるものを集めてみましたので,見かけたときの参考になれば幸いです。