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「低木」と「高木」の違いは?~分かりにくい木の種類・分類まとめ

  今回はコラムとして,紛らわしい「木」の分類について記事にしてみました。ガーデニングをしていると,『常緑低木』や『落葉高木』といった用語を目にします。では,「低木」と「高木」の違いは何でしょうか? 低い,高いの基準の違いはどこにあるのでしょうか?また,例えばラベンダーやローズマリーなど,草っぽい植物なのに『低木』と分類されるのはなぜ?など分かりにくい点が多いです。自分も園芸をはじめたばかりの頃は定義が良く分からず混乱しました。実際のところ,園芸店の店員さんなどある程度詳しい方でも分かっていない場合が多いです。

 今回の記事では,これらの違いが分かるように,フリーの素材などで作った図など使って説明してみました。庭木に分類に関するモヤモヤが少しでも解消されれば幸いです。

 これまでの植物の分類系の記事では,草本である『宿根草』と『多年草』の違いにういて記事にしています。こちらも併せてご覧ください。

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木と草の違いは?

 まず木と草の違いは何でしょうか?生物学的には,木は『木本』,草は『草本』と呼ばれます。木は,樹皮の内側にある形成層と呼ばれる部分が木質化しながら成長するのに対して,草は形成層がなく木質化しない(一般的に柔らかい茎のまま)という違いがあります。

 それでは,木と樹の違いは何でしょうか?『木』は,植わっている木以外にも材木など木製の材料にも使われますが,『樹』は植わっている生きている木にしか使われないようです。言われてみれば,確かに思いつく限りでは例外なくそのように使われているように思います。『木』は生きている木にも,加工後の木材にも使われ,より広い意味を持つと言えます。

木の分類

 それではここからが本題の『木』の分類についてです。木は,①成木の樹高や②冬に落葉するかしないか,さらに③葉の形によって分類されます。

①『樹の大きさ』で分類

 成長した後の成木の状態での高さで分類されます。

 下の図に,高さ別にカテゴライズした5つの分類を示します。大きく分けて3m以上の木が『高木』,3m以下が『低木』と分類されます。その中で,高木はさらに『大高木』『中高木』『小高木』と細かく分類されます。また,低木は『低木』『小低木』にさらに分類されます。

 庭木の多くが3m以下の『低木』で,大きくても10m以下の『小高木』であることが分かります。という訳で,庭木に『低木』が多いのは納得です。

 小型で柔らかい印象のあるラベンダーやローズマリーなどの植物は『草』と勘違いしそうですが,木と草の違いにあった「形質層」があり木質化することから『小低木』に分類されます。考えてみれば,どんな大木でも先端の枝葉は柔らかく草っぽい訳でして,育てていくと木質化するものは『木』に分類されるということになります。

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『低木』と『高木』の違い

②『常緑』『落葉』で分類

 冬に葉が落ちるか/落ちないかどうかで,それぞれ『落葉樹』『常緑樹』に分類されます。これは,冬の木姿を見ればイメージできます。また,「常緑」といっても全く葉を落とさないということではなく,冬や葉の生え替わりのタイミングで結構葉を落とすものも多いです。

 ガーデニングの観点からは,冬も葉を楽しみたい向きは,常緑が好まれます。

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『常緑樹』と『落葉樹』

③『広葉樹』『針葉樹』で分類

 こちらは葉の形の分類です。葉の形が広くて平たいもので,大部分の木は『広葉樹』です。一方,『針葉樹』は葉が針のように細長い「マツ」や「スギ」,「コニファー」などが該当します。逆に言えば,これら以外は全て広葉樹です。この分類も比較的イメージしやすいのではないでしょうか。

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『広葉樹』と『針葉樹』

 

木の分類の具体例(我が家の庭木)

  基本的に今回のメインである「木の分類」についての話題はここまでですが,具体例としてこれまでに紹介した我が家の庭木を今回紹介の方法で分類してみます。

①大高木(15m~)

②中高木(10m~15m)

 我が家では,裏庭に植わっていて先日(2020年5月)にその伐採について記事にした『クリ』や,同じく裏庭に植わっている『カキ』がこれらに該当します。いずれも落葉樹です。

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③小高木(3~10m)

 このサイズの木は,広めの庭のシンボルツリーとして植えられることが多いサイズの木です。

◆常緑樹

 『常緑小高木』としては,『オリーブ』や『シマトネリコ』があります。

 まず,オリーブですが,1mに満たないヒョロヒョロの状態で地植えしましたが,3年経った今ではもう3mに到達し太さも腕の太さぐらいあります。名実ともに「小高木」となりました。

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  次は,こちらもシンボルツリーの定番『シマトネリコ』です。本来10mくらいに育つそうですが,我が家ではそこまで大きくならず助かっています。幹があまり太くならず,しゅっとした出で立ちが涼しげな印象の『常緑小高木』です。

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 以上は広葉樹の紹介でしたが,常緑の針葉樹では『ゴールドクレスト』があります。こちらは,高さ30cmに満たない小さな苗を地植えしましたが,3年間で2.5m以上と驚異的な成長を遂げています。最大10m近くになる,針葉樹の『常緑小高木』です。

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◆落葉樹

  夏を代表する花木である『サルスベリ』は,我が家では鉢植えでまだ1mに満たないですが,地植えすると最大10m近くまで成長する『落葉小高木』です。

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④低木(1~3m)

  庭木として大き過ぎず,シンボルツリー足る存在感もある,バランスが良いサイズなのが『低木』だと思います。

◆常緑樹

 我が家には冬にも葉を楽しめる『常緑低木』が多数あり,いずれもおすすめのものばかりです。まずは我が家で最もお気に入りの『セアノサス(カリフォルニアライラック)』。木全体に青い花が咲く,とても美しい花木です。

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 常緑葉だけでなく,花もほぼ1年中楽しめる『ウエストリンギア』も『常緑低木』です。

 一方,矮性種の『ウエストリンギア スモーキーホワイト』は1mに満たないので『常緑小低木』です。

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 常緑の銅色葉だけでなく,花や最も見所のあるピンク色の鞘まで楽しめる,個性的な庭木『ドドナエア』も『常緑低木』です。

 

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 生垣にも良く使われる丈夫な庭木『シルバープリペット』も『常緑低木』に分類されます。

 

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  我が家では鉢植えにしていますが,いずれも地植えにして成木になると3m近くにはなる『ギョリュウバイ』『カリステモン』も『常緑低木』です。

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  変わり種では,黒い枝の『コロキア』があります。こちらも成木が1.5mくらいにまで大きくなる『常緑低木』です。

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◆落葉樹

  夏に爽やかな青い花を咲かせてくれる『セイヨウニンジンボク』は,かなり大きくなり,3m超えるかどうかまで大きくなりますが,一般的には『低木』に分類されます。ですので,『落葉低木』ということになります。

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⑤小低木(~1m)

  『草』と勘違いされやすい植物が多いです。我が家にある紛らわしい植物から挙げますと,『ラベンダー』や『ルリマツリ』,『チェリーセージ』『ローズマリー』などがあります。いずれも,挿し木苗から育てることが殆どなので,最初は柔らかく「草」のようですが,幹の部分が「木質化」して年々太くなりますので『木』です。そしていずれも常緑なので,『常緑(小)低木』となります。「草」と間違えやすいですし,間違えて表示している情報も多々あるので注意しましょう。(小が括弧書きなのは,小低木を低木の1種として別けない場合があるためです。)

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 生垣などで見かける矮性の『アベリア』や『オタフクナンテン』も『常緑(小)低木』に分類されます。

 

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 『プリペット レモンライム』は同じプリペットでも,『シルバープリペット』のように1m超えはしない矮性種のため,『常緑(小)低木』に分類されます。

 

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まとめ

  いかがだったでしょうか?今回は,紛らわしい木の分類として木の大きさによる分類方法を紹介しました。また,具体例として,本ブログでたくさん紹介している我が家の庭木たちを分類してみました。木の分類の理解に役立てば幸いです。