今回は3~4月に見ごろを迎えるシャクナゲ(石楠花)についてです。シャクナゲはツツジ科ツツジ属の花木で,春先にはツツジの花をいくつも集めたような大輪の花を咲かせます。その豪華さから,「花木の女王」と呼ばれることもあるようです。また,耐暑性,耐寒性ともに高く,常緑低木なので,一年中緑の肉厚の葉を楽しむこともできます。
我が家の庭にも,推定樹齢40年,樹高3mにもなるシャクナゲがあり,毎年春先に一際目立つ豪華な花を咲かせてくれます。今回は,我が家のシャクナゲについて,春先の満開の様子と4季の変化,珍しい「秋の返り咲き」について紹介したいと思います。
基本情報
種類 | 常緑低木 |
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英名 | Rhododendron(ロドデンドロン) hybridum |
花色 |
白,赤,ピンク,黄,赤,紫など |
開花時期 | 3-5月 (10-1月に返り咲きすることがあります) |
最大樹高 | 4m |
耐暑性/耐寒性 | 強/強 |
シャクナゲの種類
大きく分けると,日本に自生する野生種である日本シャクナゲ,と園芸品種である西洋シャクナゲがあります。
野生種である日本シャクナゲは,もともと日本の高山や寒冷地で自生している品種のため,昔は暖地では栽培が難しい植物とされています。
一方,中国や南アジア原産のシャクナゲが西洋(ヨーロッパ)に持ち込まれて品種改良されたのが,園芸品種である西洋シャクナゲです。西洋シャクナゲには,さらにその後日本に持ち込まれて品種改良されたものも含みます。こちらは,大輪の豪華な花を咲かせるだけでなく,耐暑性も改善されて,育てやすい花木となっています。そして現在,園芸店などで販売されているシャクナゲのほぼ全てがこの西洋シャクナゲとなっています。
この記事で紹介する我が家の樹齢40年のシャクナゲは,西洋シャクナゲの「太陽」という品種です。
葉に含まれる毒
シャクナゲの葉には,吐き気・下痢・呼吸困難などの症状を引き起こす「ロードトキシン」という毒が含まれます。触れても問題ないですが,摂取は厳禁です。我が家もそうですが,小さなお子さんがいる家では少し管理に注意が必要です。
育て方
とても育てやすく,暑さ,寒さ両方にとても強いです。上にもあるように,原生種は耐暑性が低いですが,現在主流の品種改良された西洋シャクナゲは真夏の直射日光に終日浴びても大丈夫なくらい耐暑性が高いです。地植えの場合は水やり不要です。
病害虫
シャクナゲは病害虫に強くないというイメージを持たれているようですが,園芸品種ではその部分も克服されていて,実際育てていて病害虫に強い印象です。ただし,秋頃に葉に黒いすす状のかびが付く「すす病」が発生することがあります。そんな深刻な病気ではないですが多少見た目が悪くなりますし,放置するとまわりの葉に広がりやすいので,見つけ次第取った方が良いと思います。
我が家の『シャクナゲ』の四季の移り替わり
それでは我が家にある樹齢40年ほどの『シャクナゲ』の四季の変化を見ていきたいと思います。(ちなみにこのシャクナゲは,アラフォーの自分が植えたものであるはずはなく,先代が植えたものを家の建て替え時に撤去しないで残したものです。。)
『春』の様子:開花!
まず一番の見ごろである,開花期の春の様子からです。関東南部にある我が家の「シャクナゲ」は,毎年3月中旬になると,たくさんの大きな蕾をつけ始めます(一部開花が始まっていますが)。
この写真で,株元にみえる黄色いコニファーは「ゴールデンモップ」です。またシャクナゲの右隣の同じくらいの背丈の木は「ヒイラギモクセイ」,花壇から垂らしているのは,「這性ローズマリー(プロストラータス)」です。
シャクナゲは,花が大きいだけに,蕾のサイズも大きいです。蕾の根本から先端まで5~10cmはありそうです。
いよいよ蕾が開き始めるところです。徐々に花弁が解かれていく様子は,とても神秘的な感じがします。
さらに10日ほど経過して4月の上旬です。ようやく開花しました!
1つ1つの花のサイズは20cmくらいあり,かなり迫力があり豪華です。近くで見ると,ツツジ科ツツジ属ということもあり,ツツジの花を10輪くらい集めたような見た目になっています。本当に1つ1つはツツジにしか見えないのが面白いです。
このまま次々と新し蕾ができては開花して,だいたい4月中旬ころまでの1ヶ月弱くらいの期間,満開の状態を楽しめます。
花が終わるとだんだん色が抜けて花弁が白っぽくなってきます。
本当に咲きっぷりが見事なので,毎年の開花期にはご近所さんから良く声をかけられます;
『夏』の様子
開花期の夏が過ぎて,次は夏の様子です。
シャクナゲと言えば,日本シャクナゲのイメージから「耐暑性が弱い」ということも言われるようですが,西洋シャクナゲの耐暑性はとても高いです。
良すぎるくらいの日当たりの南向きの庭で30年以上耐えているというのが何よりの証拠です。今年(2021年)の夏も酷暑でしたが,特に葉が落ちたり,葉焼けしたりなどの様子は見られず,問題なく夏越しできました。
『秋』の様子:珍しい返り咲き!
無事に夏越した後の10月の秋の様子です。秋になると少し葉が黄色くなって葉が落ちるようです。
シャクナゲにとっておは,通常はあまり変化のない秋の季節ですが,この年は10月中旬なのにたくさん蕾がついています。
そして1ヶ月後には開花しました。春の開花に比べるとだいぶ花サイズは小さめですがシャクナゲでは珍しい「返り咲き」です。
「返り咲き」は,夏の猛暑が長く続いた場合に花を咲かせる準備に入り,再び秋に開花すると言われています。この年の夏はそれに該当したのかもしれません。
寒さのためか,花の1つ1つは弱弱しいですが,12月になってもまだ咲き続けています。
また,シャクナゲとは関係ないですが,記事を書いていて気付いたのですが,花壇から垂らしている「這性ローズマリー」の1年間の成長が尋常でないです・・・
『冬』の様子
常緑樹ということで,真冬でもさずが葉は緑のままで,かつあまり落葉しません。返り咲きした花がらは,そのまま放置していたので少し汚い感じですね;
よく見ると晩秋まで返り咲きしていたのに,既にたくさんの新しい蕾が出来ています。
3月の上旬になりました。また蕾がたくさんでき始めています。
前の写真から1ヶ月半以上経過しているのですが,あまり蕾は大きくなっていないようですが・・・。「返り咲きしてエネルギーを使い果たした?」と不安になりながら迎えた3月中旬頃。開花してきました。
3月下旬になるとさらに咲き進みます。もしかしたら過去最高レベルの花密度かもしれません。
こちらは家の2回から撮った写真です。夕方なので少しオレンジがかってますがが,花密度が本当にすごいです。
という訳で,「返り咲きしたことで開花のエネルギーを使い果たした?」は完全に杞憂に終わりました。以上で今回の『シャクナゲの四季の変化』の紹介は終わりです。
まとめ
今回は,我が家の南向きの庭に40年ほど植わっている『シャクナゲ(石楠花)』について記事にしました。花木の女王と呼ばれるだけあって,春には他の花木にはないインパクトのある大きな花を咲かせます。また,常緑で耐暑性,耐寒性ともに強く,おまけに晩秋には返り咲きすることもあります。お庭に植えて大きく育てれば,毎年春の訪れを感じさせる素敵なシンボルツリーにもなると思います。