今回は,オーストラリア原産のツル性常緑低木『ハーデンベルギア』の2年間の成長記録についてです。ハーデンベルギアは花の少ない早春に開花する貴重なツル性の花木で,上品な紫色の小花をたくさん集めた房状の花が咲きます。その花姿が同じツル性のフジ(藤)に似ているので,和名で「コマチフジ(小町藤)」と呼ばれたりしますが,近くで見ると小さな「胡蝶蘭」のようにも見えます。ツル性なのでフェンスに絡ませたり,あんどん仕立てにして鑑賞されます。また細長い形をした少し固めの濃い緑の葉は常緑で,1年中鑑賞価値があるのも嬉しいポイントです。
我が家でも,昨春に3号ポットを地植えしてフェンスに絡ませて育成してみました。あまり環境の良くない日陰での放置管理での育成にも関わらず,1年で3m,2年で5mと驚くほど成長し,春には毎年見事な開花を見せてくれます。
基本情報
種類 | ツル性常緑低木 |
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学名 | Hardenbergia |
花色 |
紫,ピンク,白 |
開花時期 | 3-5月 |
最大樹高 | 2m(つるは3m以上伸びる) |
耐暑性/耐寒性 | 強/強 |
ハーデンベルギアの種類
ハーデンベルギアの花色は,紫色が最もメジャーです。その他に,白色に紫色の絞りが入った「舞姫」,白花の「ハーデンベルギア・スノーワンダー」,ピンク花のタイプを見かけます。葉はいずれも,細長い形をした少し固めの濃い緑の常緑葉で,見た目は同じです。
日当たり
日当たりを好みますが,日陰でも十分成長します。ツル性なので,日が当たるところまで伸びて成長するというのもありますが,半日陰程度でも十分たくさんの花を咲かせることができます。かなり日陰にも強い植物だと思います。詳しくは成長記録をご覧ください。
水やり・肥料
ハーデンベルギアは,地植えが基本の植物だと思いますが,その場合水やりは不要です。またかなり成長が早いので,継続的な施肥は不要です。花期(3~5月)の後の年1度,御礼肥をやる適度で十分なようです。
剪定
ハーデンベルギアはとても成長が速いので,ポット苗で育てる場合でも,2年目以降は剪定は必要と思います。(育てる場所によりますが)剪定自体は,ツルバラのように棘がなく,ツルも固くないので剪定は容易です。
↓参考:ツルバラ(モッコウバラ)の成長記録
増やし方
挿し木で簡単に増やせます。花後の5~6月が適期です。ハーデンベルギアは小さな苗でも開花するので,挿し木をしたその次の春先には開花してくれます。
成長記録
2021年2月
園芸店で3号ポットの開花苗を購入しました。ガーデニングあるあるで,植え場所をあまり考えずに購入したので,どこに植えるか色々検討。。フェンスには絡ませたいと思っていたので,結局ラティスフェンス(写真右手)のある裏庭の一角にあるコーナーに植えることにしました。
手入れが全く行き届いてない荒れた場所に無理やり穴を掘って植えた感じです。家の北側の真裏にあり,我が家では日当たりも最も悪い場所かもしれません。。
こちらは植え付け直後の様子です。苗の大きさは,ツル性なので高さ15cmくらいと低くて,横幅は30cmくらいです。
それにしても,せっかくの開花苗がかわいそうになるような場所ですが,無事育ってくれることに期待です。。
2021年6月(新芽)
花期も終わり気温が上がってきたことで,ようやく新芽が出てきました。
ハーデンベルギアは成葉は硬くて濃い緑色ですが,新葉は柔らかくて明るい緑色です。
同時にツルも伸びてきています。他のツル性植物と違って,巻き付いて伸びるのではなくて,対象部にもたれ掛かりながら上に伸びていくイメージです。もちろん棘もないし,とても誘引し易いのは嬉しいポイントです。
2021年8月
夏本番の8月上旬となりました。成長が加速して,もう2mあるフェンスの上まで伸びてきました。本当に成長が早くて,新葉が成葉(硬くて濃い緑色)になるのが間に合わないくらいです。
2021年10月
10月中旬になりましたが成長は止まらず,裏の(汚いお隣さんの)物置の上にも這っていってます。
次は根本部分です。いつの間にか,細くて緑色だったツルの根本部分が太くなり1cm弱くらいになっています。ツル性ですが低木もであるので,茎が茶色に変色してすっかり木質化しています。
2021年12月(蕾)
冬入りの12月中旬頃,だいぶ涼しくなってからも成長は続きます。2mのフェンスを越えて,その裏の物置の上(2.5mくらい)の届いて,さら横に伸びていってます。おそらく全長3m以上にまで伸びています。30cmのポット苗から,1年未満でここまで成長するとは驚異的です。
上の方をよく見てみると,茂った葉の中に房のようなものがたくさんできるのを発見。
3月からが開花期なのでだいぶ先だとおもってましたが,前年の12月には蕾が出来るようです!もしかして今年は開花が早いのでは?と期待しながら開花を待ちます。
2022年1月(蕾)
だいぶ気温が下がってきました。まださすがに蕾のままです。
アップするとこんな感じです。まだまだ蕾は小さくて,開花まで時間がかかりそうです。
2022年2月(蕾)
2月になりました。蕾ができてから2か月以上経過していて,蕾の成長が遅くて少しヤキモキさせられます。。が,花色の紫を帯びてきてもう少しで開花しそうです!
それにしても,ハーデンベルギアは日陰という環境でかつ真冬でも全く落葉しないです。常緑で冬を越せて寂しくならないのはとても良いですね。
2022年3月(開花)
そして気温が少し上がってきた3月の上旬になってやっと開花しました!蕾ができてからはなんと3カ月も経過しています。。
3月中旬になって,さらに開花が進みました。地植えしてから1年とは思えないほど,たくさん咲いて花数が多いです!
近くで見ると,しばしば例えられるように,小さな「胡蝶蘭」のように見えます。もともと日陰で暗い雰囲気の場所なので,落ち着いた紫でも周りを明るく華やかにしてくれます。
次は遠目に見た写真です。最初15cmしかなかったのですが,この成長と開花です。。日陰という環境を考えるとなおさら,思っていた以上に成長が早くたくさん開花してくれて驚きです。(あと暗くて汚い場所が少し明るくなって嬉しいです。)
ここから1カ月くらいは開花が続きました。
2023年3月(2回目の開花)
さらに1年が経過し,2回目の開花シーズンを迎えました。
今年は,昨年よりさらに豪華に紫花が開花しています!
また株のサイズも昨年からさらに大きくなり,2mくらい離れたところにある梅の木(5mくらいあります)に絡みついて開花しています。
2年で5mの高さまで大きくなります。ただ生い繁っている訳ではないので管理しやすく,花が終わったら剪定して少しコンパクトにしようと思っています。
まとめ
今回は,オーストラリア原産のツル性常緑低木「ハーデンベルギア」の成長記録について紹介しました。実際育ててみて,日陰での放置管理なのに驚異的なスピードで成長し,翌年の春には満開の紫花の開花を見せてくれました。また常緑でツルバラのように棘もないので管理も楽です。あまり知られていない植物ですが,育て易い,常緑,春先の貴重な花と,かなりポイントの高い初心者におすすめの植物です。