今回は,家庭菜園の定番「トウモロコシ」の栽培記録です。家庭菜園はガーデニングと比べると,育成が短期勝負だったり,収穫があるので手間が掛かりがちです。今回は,あまり手をかけたくない,でも失敗したくないということで,トウモロコシの育成のポイントの,①間引き,②盛り土,③雄穂,④雌穂の扱いと受粉,⑤収穫時期,は守って,あとは種の撒きからの2か月強の期間,水やり以外ほぼ放置で育ててみました。結果,手間をかけず美味しいトウモロコシを育てることができました。今回は育成のポイントと成長記録について紹介します。
準備(土づくり)
まず簡単に,育成の基本となる「土づくり」についてです。家庭菜園用,園芸用の新しい土がある場合はそのまま使って全く問題なく育てられます(その場合はこの項目は読み飛ばしてもらって大丈夫です)。
今回のトウモロコシの育成では,何とこの2年間でトマト×2回,レタスを育てたプランターの古土を使いました(古土の表面の根の多い部分を1割程度捨てて,新しい土をその分足しました)。ただ,古土をそのまま使うと文字通り連作障害になりますので,粒状タイプの土壌改良剤を使いました。
使い方は簡単です。古土に土壌改良剤を適量混ぜ込み,その後1週間放置するだけで
す。
今回のトウモロコシはこの土壌改良した古土を使って,種を植えて育成しました。
ちなみに,トウモロコシの前に育てていたレタスの成長記録はこちらで紹介しています。良かったらご覧ください。
成長記録
トウモロコシの種まき
それではいよいよ「トウモロコシ」の種の植え付けです。こちらが今回のトウモロコシの種です。
パッケージの裏面には基本情報や育て方が書いてあります。
最低限必要な情報が良くまとまっているので,ちゃんと読んでおきたいです。
この品種もそうですが,基本的にトウモロコシの種は,5~7月の暖かい時期に種を撒くのが適当なようです。
種の見た目はこんな感じで,ピンク色です。このピンク色は殺菌剤によるものです。とうもろこしの種は雑菌に弱いらしく,手に触れただけでも発芽率が悪くなるので,予め殺菌剤をまぶしてあるのだそうです。
植え付けたのは,先ほど紹介した土です。土壌改良剤を混ぜ込んだあと,1週間ほど放置しています。
こちらの写真が種をまいた後の様子です。プランターの中心あたりに5粒ほど撒き,2cmくらいの深さに植え付けました。
トウモロコシの発芽
種を植えて4日後に芽が出てきました。
アップするとこんな感じです。トウモロコシの発芽温度は高いのですが,気温の高い7月に種まきしたのが良かったのか,『8割』くらいの発芽率です。
ポイント①:間引き(2回)
植え付け後13日が経過しました。ここで1つ目のポイント:間引き(2回)です。
1回目の間引きでは,発芽した中から,成長の良い2茎を残して間引きします。
間引き全般にそうですが,種から発芽した喜びもあるって,すぐに抜いてしまうのは気が引けますし,「もしかしたら複数の株を育てられるかも・・・」とか思いがちです。しかし,最終的にこの40cmの鉢でも小さく感じるくらい大きくなり後で困るので,遠慮なく抜きましょう。
今回は,発芽した6本の苗のうち4本を間引いて,一番成長の良かった2本を残しました。写真くらいの大きさであれば,まだ根も深くないので,上に引っ張るだけで簡単に抜くことができました。
次は植え付けから20日後(1回目の間引きからは7日後)の様子です。たった1週間ですが,残した2株がかなりの成長速度で順調に育っています。
ここで2回目の間引きです。今回は,2株のうちより成長の良い1株を選びます。間引きの方法ですが,株が成長して根付いていて,茎を引っ張って抜くと残したい株の根も傷つけることになるので,株の根本でカットして間引きします。
1回目と同様に「2株くらいだったら1つの鉢でも育てられるかも・・・」とか思いがちですが,先ほどと同じで最終的にこの40cmの鉢でも小さく感じるくらいとても大きくなるので,必ず1本にしましょう(このサイズのプランタで育てる場合)。
こちらが2回目の間引き後の様子(種まき後20日)です。
間引きは発芽後1週間を目途に成長の良い2本を残し(1回目),発芽後2週間後を目途に1本にする(2回目)
ここで「なぜ間引きは2回に分けて必要なのか?」という話ですが,最初から2粒しか撒かないと発芽しないリスクがありますし,たくさん発芽して間引きを最後の1度しかしないと根が絡まって生育に影響が出ます。手間を省いて間引きを1回にしたい場合は,最初の間引きで1本に絞るのは1つの手かなと思います。
種の植え付け後27日が経過しました。ご覧のように1つ前の写真から7日しか経っていないですが,驚きの成長速度です。これで間引きしなかったらどんなことになっていたか?・・・と思うと怖ろしいです。。
ポイント②:『土寄せ』で根張りを改善
35日が経過しました。ここで2つ目のポイント,「土寄せ」です。もう少し早くても良いのかもしれませんが,トウモロコシはこのくらいの時期になると,次の写真のように地上部の節から枝根が発生してきます。ここを土で覆うことで,根張りが改善され,成長が良くなるとともに,強風でも茎が折れにくくなります。
根張りを改善し,強風対策,成長を良くするため,地上部の節から枝根が発生したら「土寄せ」をする
「土寄せ」のやり方ですが,今回は周りの根を痛めないように,土を寄せるというより,土を足して「盛り土」をしました。ここまで盛れば安心です。
ポイント③:雄穂を切り取り人口受粉
42日が経過しました。ここで3つ目のポイントで,『雄穂』を切り取っ手人口受粉します。
この頃になると『雄穂』と『雌穂』ができ始めます。
株の一番上にできて先端が稲のように見えるのが『雄穂』,下の方に見えるトウモロコシの実になる部分の先端にできるヒゲのように見えるのが『雌穂』です。雄穂の花粉を雌穂に受粉させることで「実」が成ります。重要なのは,今回のように単体で育てている場合は,隣に株がいないので,人工的に受粉させる必要があるということです。
このように剪定ハサミで切り取った雄穂(稲っぽい)を雌穂(髭っぽい)にこすりつけます。受粉作業は以上です。
雄穂を切った後の切り口はこんな感じです。断面が露出してて不安ですが,そのままで大丈夫です。
雄穂を切り取って受粉した後の状態です。
次は受粉後6日後(種まき後48日)の様子です。もう早くも雌穂のトウモロコシの実が育ってきています。ここからはこのトウモロコシの実をいかに充実させて,良いタイミングで収穫するかが重要です。
「雄穂」を切り取って「雌穂」に人工授粉する。「雄穂」に集まる害虫対策にもなる。
ポイント④:雌穂は2本目以降切り取る
ここで,4つ目のポイントは,トウモロコシの実を充実させるために,2本目以降に株の下側に生えてくる「雌穂」は取り除きます。これは栄養を分散しないため,ということで分かりやすいかと思います。
今回は2本目の雌穂がでてきたので,次の写真のようにカットしました。これも作業としては剪定ハサミで普通に切っただけです。
「雌穂」は1つ目を成長させて,2つ目以降の低い位置にできる「雌穂」は切り取る
64日とおよそ2か月が経過しました。確認のため葉をかき分けてみると(結構大変),しっかりと実ができています!
実の充実が確認できたため,虫に食われないように,かき分けた葉は戻して,念のためセロテープで固定しました。
しかし,それでは「いつ収穫すればいいの?」と不安になるかもしれません。
ポイント⑤:収穫は雌穂ができて20~25日後に
最後の5つ目のポイントですが,一般的に言われているのは,「1.雌穂がついてから20~25日後に収穫する」ということです。他には,「2.実が太くなってから」とか,写真にあるように「3.雌穂が茶色く縮れてから」とか,「4.実が先端までできているのを確認してから」とかいろいろ見聞きしますが,23は感覚的なところもあるので,1,4を基本に2,3を組み合わせて確認するのが良いのではないかと思います。
こちらが収穫したトウモロコシです。確認ようにかき分けた葉を元の位置に工程するセロハンテープが見えます。。
収穫は雌穂ができて20~25日後,実が先端までできているのを確認できたら適期
最後の試食です!うちの奥さんに茹でて貰って食べました。『あまいバンタム』の名の通り,とても甘くておいしいトウモロコシでした。朝穫れで新鮮なためか,自分で育てたためか,いつもより甘くてジューシーで美味しかったです!
片付け
家庭菜園の運命というか,トウモロコシは1年草なので,プランターを次の栽培に使うためにも収穫後の株を捨てなければなりません。
大切に育ててきた植物を生きたまま捨てるのは気が引けるのですが,仕方がないです。。スコップを使って掘り返していきます。
トウモロコシの根は浅いと言われますが,意外としっかりと根付いていて,引っ張ってもびくともしません。そこで先端に歯のついたスコップでザクザクと周囲の根を切りながら掘り起こしていきます。
そしてようやく抜けたのが次の写真です。かなり根を切ったので,こうやって見るとあまり大きくないですね。せいぜい30cmくらいの根張りに見えます。
次の家庭菜園のためのプランターの前準備が終わったところで,今回の「トウモロコシ」の育成記録は終了です。
まとめ
今回は家庭菜園の定番『トウモロコシ』を基本に忠実に育ててみました。①間引き(参考に種まきからの経過日数:13日,20日の2回),②土寄せ(35日),③雄穂,④雌穂の扱いと受粉(42日),⑤収穫時期(66日)だけやって,あとは水やりだけと手間をかけない管理でしたが,虫もつかず無事美味しい『トウモロコシ』を収穫・試食することができました。手間をかけずに失敗せず育てたい方の参考になれば幸いです。
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