今回はナチュラルガーデンに合う宿根草の定番『ゲラニウム』の育成記録です。『ゲラニウム』は,ナチュラルガーデンの素材として必ずと言っていいほど紹介される宿根草で,その中で「ジョンソンズブルー」は青い花を咲かせる定番で人気の交配品種です。今回育ててみたのは「ジョンソンズブルー」の改良品種である「オリオン」です。実際2年間育ててみて,素敵な青花の開花を3度,ジョンソンズブルーより優れると言われる長い開花期間楽しむことができました。今回は,ゲラニウム種類や品種の違い,育て方などの基本情報の後,2年間の成長記録について紹介します。
基本情報
種類 | 草花 宿根草 |
---|---|
学名 | Geranium 'Orion' |
花色 | 青紫 |
開花時期 | 5-10月 |
最大草丈/横張り | 40/40cm |
耐暑性/耐寒性 | 普通/強 |
ゲラニウムとゼラニウムの違い
「ゲラニウム」と名前がよく似た植物に「ゼラニウム」があります(というより「ゼラニウム」のほうが一般的でしょうか)。「ゲラニウム」はフウロソウ属(Geranium)に属し,「ゼラニウム」と呼ばれているのはペラルゴニウム属(Pelargonium)の植物です。実は両者は名前の由来は同じで,英語はともにフウロソウ属を意味する「Geranium」から来ています。名前の混同は,両属が過去に同じフウロソウ属(Geranium)に分類されていた歴史があるためで,その名残で日本語のカタカナ発音が「ゼラニウム」と「ゲラニウム」に分かれたままになっています。
今回紹介している,フウロソウ属「ゲラニウム」は,北半球の山地草原に自生し耐寒性強く冬も地際で越冬し,花は5枚の花弁が放射相称で小輪,葉は柔らかく切れ込み深い形をしていて,冬には紅葉が見られる場合もあります。英語では「ハーディ・ゼラニウム(耐寒性ゼラニウム)」と呼ばれることもあります。
一方,「ゼラニウム」は南アフリカ原産で,温暖期に生育旺盛で半低木化し,花が大きくなりやすく,色も鮮やかで開花期長いです。また,下記のようにローズなどの香る品種もあり,精油はアロマや虫除けにも用いられます。寒さには弱いと言われ,日本では一年草として扱われることもあります(が実際には関東以南かつ日当たりであれば高確率で冬越しできます)。
↓ローズゼラニウムの成長記録
両者は元々同じフウロソウ属(Geranium)に分類されていた割に,育つ環境や管理方法が異なるため,見た目だけでなく栽培のポイントも異なります。現在では分類上明確に分けられていますが,上で書いたように園芸界ではペラルゴニウム属の方をいわゆる(ゲラニウムでなく)「ゼラニウム」と呼ぶことが一般的になっています。
ゲラニウムの種類
ゲラニウムと言えば青花の「ジョンソンズブルー」が有名ですが,今回育てた「オリオン」は「ジョンソンズブルー」の改良選抜種です。ジョンソンズブルーが古くから親しまれている交配品種で,その名の通り明るい青紫色が特徴なのに対し,「オリオン」は,花がやや大きく,より濃く鮮やかな青紫色が特徴です。花期も初夏中心のジョンソンズブルーよりやや長く,草姿も茎が倒れやすいジョンソンズブルーよりは茎がしっかりしていてまとまりやすい,といった特徴があるようです。
他に「ジョンソンズブルー」の改良種には「ブルックサイド(上写真)」などがあり実際に育てたことがありますが,基本的な育て方は同じです。
日当たり
耐寒性はとても高く容易に冬越しますが,真夏の暑さの蒸れに対する耐性は普通なので,直射日光が長時間当たるような場所には避けた方が良いです。半日陰程度であれば十分に育成しますし,夏越しも容易になります。
水やり
ナチュラルガーデンに合う宿根草なので地植えが中心になりますが,その場合,植え付け後の水やりは降雨以外は殆ど不要です。日照りで続て地面が乾ききっているときなどは適宜水やりします。
成長記録
2023年5月
ゲラニウム・オリオンの3.5号ポット苗を購入し,5月の中旬に白いガーデンアーチの左側の足の近くに植えました。場所は家の西向きの花壇ですが,周囲の低木類の陰になる半日陰のエリアです。
ゲラニウムの左手前のスペースには同時期に購入した斑入りの宿根草「シレネ・ユニフローラ」を植えました。
ゲラニウムに特徴的な,柔らかく切れ込み深い葉の形をしています。今後の開花が楽しみです。
2023年6月
6月になり気温が上がりつつ梅雨の気配がし始める中,「ゲラニウム」の開花期になりました。
早速,青紫の花が3~4輪ほど開花しました!
ゲラニウムの花茎はかなりかなり伸びて平気で60cmくらいになります。株元からかなり離れたところに花が咲くことも多いです。
6月に咲き始めた開花は7月中旬くらいまで続き,開花期は1ヶ月半ほどでした。
2023年8月
真夏になりましたが,季節外れのこの時期に少しだけ開花しました。ジョンソンズブルーの改良品種である「オリオン」は開花期が長いことが特徴ですが,実際にかなり長いようです。
2023年11月
一番暑い季節が終わりました。半日陰スペースということもあり,特に夏にダメージを受けることなく夏越しできました。
ちなみに同時期に購入してすぐ隣に地植えしていた,斑入りの宿根草「シレネ・ユニフローラ」は夏越しできずに枯れてしまいました。同じ場所に植えて結果が違っていたので,耐暑性は明らかに,「ゲラニウム」>>「シレネ・ユニフローラ」ですね。
2024年2月
真冬になり殆ど葉は落ちてしまってますが,株元に残った葉が黄色く紅葉しています。
2024年4月
4月になりました。
4月上旬になっても新芽が出なく,「ちょっとまずいかな・・」と思っていたところ,中旬に入ってようやく新芽を確認しました。はじめての冬越し成功です!
実は,以前家の北向きの裏庭で「ジョンソンズブルー」を育てていたことが有ったのですが,夏の蒸れのためか冬の寒さのためか,冬前に地上部が無くなって以降そのままなくなってしまったことがありました。
そのため今回も不安だったのですが,適度な半日陰だったためか「オリオン」が丈夫なためか無事冬越しできました。
2024年6月
6月になり2回目の開花です。ほぼ植えて1年目の昨年と同時期に開花を迎えました。
6月下旬になって花数が増えてきました。
2024年7月
7月になっても開花が続いています。さすがジョンソンズブルーの改良品種なので開花期が長いようです。
ちなみに一緒に写っている斑入り葉の植物は「ツルニチニチソウ」です。「ツルニチニチソウ」も青紫色の花弁5つの花を咲かせるので紛らわしいですね。。
2024年12月
年末になりました。気温はかなり下がってますが,今年もまだ切れ込みの深い緑の葉が地上部に残っています。
2025年4月
4月上旬になりました。今年もやや遅めの4月に新芽が出ました。
4月下旬には深い切れ込みの葉が生え揃ってきました。
2025年6月
植付けから2年余り,3回目の開花期がやってきました。
ちょうどこの時期には,ガーデンアーチに合わせて育てたバラ「レオナルド・ダ・ビンチ」が開花します。ちみに写真の右室にみえる薄紫に八重の豪華な花は「クレマチス・ベルオブウォーキング」です(花の終わりかけで少し色がくすんでいます)。
「レオナルド・ダ・ビンチ」のアップがこちらです。
写真に同時に映り込んでないですが,その場にいると株元の「ゲラニウム」の青花とのコラボが素敵です。
「ゲラニウム」は花の密度は高くなくて派手ではないのですが,花の1つ1つが大きめで存在感があるので植えたエリアが自然に華やかになります。
という訳で地植えしてから2年と1ヶ月,3度目の青花の開花を楽しめましたということで今回の育成記録の紹介は以上です。
まとめ
今回はナチュラルガーデンの定番『ゲラニウム』の育成記録について紹介しました。「ジョンソンズブルー」の改良品種である「オリオン」を2年間育ててみて,とても強健で育てやすく,3度の青花の開花をジョンソンズブルーより優れると言われる長い開花期間楽しむことができました。やや花密度が低いですが,貴重な青花がほぼ放置管理で毎年開花するのはポイントが高く,とてもおススメできる宿根草です。
★★★★★