今回は,我が家の庭で地植えで長年育てて枯れてしまったオリーブの伐採・伐根作業についてです。「オリーブ」はとても強健な常緑低木で,暑さ・寒さ・湿度が原因で枯れることは滅多にないですが,害虫により枯れてしまうケースは意外とあるようです。我が家でも約10年ほど育成し4mほどに育っていたオリーブ2本が,害虫が原因(後で詳しく)で枯れてしまいました。
樹木が枯れてしまった場合,もし次の木を植える予定がある場合は,伐採だけだと根が残ってしまいますので,伐根が必須になります。一方,樹齢が長いオリーブでは,太い根が深く・広く張っていて,DIYでの伐根作業は一般的に困難です。
今回は,大きく育ったオリーブの伐採・伐根を自分で実施してみました。これまで何度か経験のあったオリーブ以外でのDIYの伐根方法で,今回もスムーズに作業を進めることができました。そのやり方と伐根作業の様子を紹介します。
今回伐根したオリーブ
今回枯れてしまったオリーブは,9年前の2016年に家を建てた際,紹介されたオリーブ農園で樹形が気に入って購入したものです。品種は特に教えられてなかったですが,後に調べた見た目からの判断では,一般的なスペイン原産の「ネバディロブランコ」という品種だと思います。2株購入しました。
購入したオリーブの苗木2株ですが,日当たりの良い玄関前に植えました。こちらが植え付けから少し経った2017年の様子です。(2本植わっているのが見えますが,手前が2016年の写真の苗木です。)
オリーブの成長は早く,急速に大きくなりました。
↓我が家の別の場所に植えた別種のオリーブの成長記録
地植えしてから4年経過後の2020年には高さは3mほどになり,ひょろひょろだった幹も5cmを裕に超えるほどに太く逞しくなりました。
植付け6年目には,オリーブの実がたくさん成るようになりました。この頃には幹の太さも10cmを超えになり,すっかり成木に成長しています。
こちらのオリーブの木から収穫した実を使って,「オリーブの塩漬け」も作ってみました。
そんな愛すべき我が家の玄関前オリーブでしたが,2023年から常緑のはずの葉が落ちて初めて枯れ始めました。
そして,2024年にはすっかり葉が無くなってしまいました。復活しないかと1年半ほど粘りに粘ったのですが,回復する様子がなかったため今回伐根することにしました。
ちなみに枯れた原因は,「オリーブアナアキゾウムシ」です。対策方法はあるのですが,今回は不覚にも管理不行き届きで枯らしてしまいました。
オリーブ伐根に必要な3つのアイテム
枯れ木を撤去後に何も植えないなら幹を切るだけの「伐採」でも良いのですが,植栽スペースで新しい木を植えたい場合は,伐根が必須になります。(ずっとなにも植えない場合は除草剤で枯らす手もあります。)
10年もののオリーブは大きく成長しているため,環境にもよりますが根が深くはっているため,最低限必要な道具がないと伐根は大変、、というより不可能です。
少なくとも,以下の3つのアイテムが必要です。
① ノコギリ(伐採・根切り)
② スコップ(土の掘り上げ)
③バチツル(根の掘り上げ)
・ノコギリ
最初の枝落とし,伐採,根の掘り起こし時に太い根を切断するのに必須です。地中にも入れるので細くて薄いタイプが使いやすいです。
↓このノコギリを伐採に使ったときの記事です。
・スコップ
根の掘り起こしのときに,周囲の土を掘り上げるのに必要です。刃先は尖ったものが掘り進めやすく作業効率が上がります。
足で踏んで力の入れるスコップは,柄が木製で劣化すると丸ごと買い替えになるので,金属製で錆びにくくかつ軽量のものを1つ購入しておくと,長く使うことができます。
・バチツル
バチツルは,スコップやノコギリと比べると一般的ではないですが,伐根だけでなく,植物の植え付け前に硬い土を耕したりするのに使えるのでとても便利です。
伐根の用途では,本体の根っこや周囲の硬い土の掘り起こしには勿論,ノコギリでは切れない細め根も,数cm程度であればどんどん切っていけるので,作業効率が格段に良くなります。
↓バチツルを開墾に使った作業の記事
バチツルは持ち手が木製の場合でも劣化したら新しく柄と挿し変えて交換できるので,伐根に限らず庭仕事で何かしら使い道がある場合は1つは持っておくと長く半永久的に使えて便利だと思います。
オリーブの伐根
全体の流れ
まず心構えとして重要なのは,無理して短期間で作業を進めないことです。これから紹介する作業はかなりの負荷で体力(筋力,持久力)が必要ですので,一日で無理して進め過ぎると体を痛めてしまいます。今回も,中木2本を相手していましたが,3週間程度(週末作業のみ)をかけて少しずつ進めていきました。
全体の流れとしては,まず伐採木を取り扱いやすくするように,①枝を落とします。その後,②幹をなるべく地面に近いところで伐採します。ここまでようやく伐根の準備完了で,本番である③根を掘り上げる作業,を行います。今回は,1本ずつでなく2本同時に作業を進行しました。
①枝を落としていく
いきなり根元から切っても地上部大きすぎて,重すぎて運べないので,まずは枝を落として行きます。
ノコギリを使って枝を落として,ほぼ太い幹だけになりました。
ここまで枝を撤去すれば,根本から切っても幹を持ち運び可能なので,伐採作業に移ります。
②幹をなるべく地際で伐採する
こちら1本目を伐採した後です。地際で幹の太さは直径15cmほどあり,作業も切る量も多く大変ですが,最初のこのようにすると後が楽になります。
こちら2本目を伐採した後です。
切る作業のし易すさから,幹の地面からの高さが20cm位のところで切ったのですが,その後の根の掘り起こし作業がとてもしずらかったので更に切り詰めることにしました。
さらに,15cm程カットしました。カットした部分ですが,見るほどに「オリーブアナアキゾウムシ」に樹皮がボロボロにされているのが分かります。。
こちらか地際で追いカットした断面です。2本目のオリーブの幹の太さは直径10cm強といったところで,1本目より細いです。
③根の掘り起こし
それではメインの根の掘り起こし作業に移ります。オリーブの根は,地中の深さ20-30cm辺りのところで最も太く大きくなっていて,これを掘り出すことが目的です。
最初は張り巡らされた根でガッチリ固定されているので,ピクリとも動きません。
伐根作業の理想は,根を全て掘り起こすことですが,根が深く・広く張ってしまっている場合,かなり広範囲に深く掘り進める必要があり,さらに根自体が掘削作業の邪魔になるので,その作業量は膨大となります。
そこで,ある程度は根を地中に残すことを許容し,根を切りながら掘り進めて,根の本体を取り出すことが必要です。一旦,本体である幹が取り出せれば,地中に残った根も掘り起こしやすくなるので,全てではないですがだいたいの残った根も撤去することができます。
オリーブの地中の根はとても太くて固く,質感はほぼ木のようになっています。これは横に,下に広がっているので切らない限り,根の本体は微動だにしません。
(だいぶ掘り進めた後ですが)こちらの写真のように本体の根の周りの土に円周上にノコギリを入れて根にぶつかったら切断していきます。
こちらが太い根を切った後です。このような極太の根は本体から2~3本伸びており,これらを切ることで本体をグラつかせることができます。一番太いのを切ったのでだいぶ本体が動くようになってきました。
最後の太い根1本を切って,ようやく1本目のオリーブの伐根が完了しました!
(この後,大きくて邪魔な本体がいないので,さらに土を掘って地中に残った根を撤去しました。)
途中の写真でも明らかでしたが,地際の幹の表面部分が穴だらけで害虫(オリーブアナアキゾウムシ)に殆どやられてしまっていることが分かります。
2本目のオリーブの伐根作業に移ります。1本目と同様に本体の根の周りの土に円周上にノコギリを入れて,根にぶつかったら切断していきます。
1本目の作業でコツはつかめていたので,作業完了までを見通しながら,スムーズに伐根できました(作業自体は大変ではありましたが)。
地上部のサイズに比例して,2本目(右)の根は1本目(左)よりだいぶ小さかったです。
土日だけちょこちょこ作業で3週間くらいかけて作業を進め,無事枯れたオリーブ2本の伐根が無事完了しました!
番外編
地中に残った根をなるべく取り除こうと更に掘り進めていたところ,奇妙な布が見つかりました。
最初,根巻きの麻布(本来1年程度で土に還る)がなぜ10年近く地中にいて残っているの?と思ったのですが,よく素材を見てみると,土中で腐らない「不織布のポット」でした。
恐らく最初のオリーブ畑では掘り起こした時に巻かれていたものが,そのまま残って外されず,もしくは植え付け時の土に紛れて植えられたもののようです。
約10年前に植えて一生でてこないはずだったものが,今回の枯れ木の伐根作業でたまたま地上に出たことに何か感慨深いものがありました,というお話です。
まとめ
今回は,我が家の庭で10年ほど育てて枯れてしまったオリーブの伐採・伐根作業について記事にしました。伐根するのが同時に2本と大変でしたが,切れに目的通り伐根することができました。今回はオリーブを例に紹介しましたが,この方法は他のあらゆる樹木の伐採・伐根作業に応用できると思います。また,作業内容は紹介したものの作業を進めるペースには特に縛りはないので,個々人の体力に合わせてマイペースで進めて貰えればDIYで安価に伐採・伐根作業ができる思います。