今回は人気の観葉植物の「コウモリラン(ビカクシダ)」についてです。「コウモリラン」はオーストラリアなど亜熱帯地域が原産のシダ植物で,その名の通りコウモリが飛ぶように葉を広げて育つおしゃれな植物です。土壌に根を張らなくても樹木や岩に植えに根を張ることができる「着生植物」のため,鉢植えはもちろん,木に着床させて壁に掛けたりつるしたりして飾られることが多いです。
我が家ではそんなコウモリを3年間鉢植えで育ててみました。またその後,たくさん子株ができたので,株分けしつつ,メインの株を板付けして壁に飾ってみました。今回は,「コウモリラン(ビカクシダ)」の成長記録,株分け,板付けと盛りだくさんにお届けします。
コウモリランの成長
まずは今回,株分けと板付けをする「コウモリラン」の成長の記録から紹介です。
その前に簡単に「コウモリランの基本情報」を整理しておきます。
基本情報
種類 |
草花ー多年草 |
---|---|
科目 |
ウラボシ科ビカクシダ属 |
学名 | Platycerium(プラティケリウム) |
開花 | 開花しない(胞子によって繁殖) |
最大草丈 | 20cm-1m(種類によって大きく異なる) |
耐暑性/耐寒性 | 普通/やや弱 |
購入当初(2021年4月)
こちらか今回の「コウモリラン」の購入時(2021年4月)の様子です。円形の3号ポット苗をスクエアの白い陶器鉢に植え替えしました。
置き場所は,家の2F階段の踊り場にある洗面スペースで,時間帯によって窓から日が差す場所でそれほど日当たりは良くありません。逆に日当たりが良すぎると葉焼けしてしまって良くないようです。
育成はほぼ放置管理で,その存在を忘れてしまうこともしばしば。時々思いだしたように水やりする,くらいでした。コウモリランは乾燥にも強く,水のやりすぎは根腐れのリスクもあるので,結果的に丁度良い管理になっていたのだと思います。
育成3年後(2024年6月)
こちらが3年後(2024年6月)の様子です。途中の写真がなく,いきなり3年間経過後ということもあり,見た目が大きく変化しています。まず目立つのが,3年前は全く無かった茶色の「貯水葉」できていて,しかも大きく成長しているのが分かります。
緑色の「胞子葉」も育成直後から殆どが生え替わっていて,新たにできた子株から新しい葉が生えて来てます。
この写真だと分かりずらいですが,株の下に子株ができていて計4つもありました。このまま育てられないこともないですが,限界は近いので,株分けとおしゃれな板付けに仕上げてみました。
株分け・板付けに必要な道具と準備
必要アイテム
板付けは当然ながら道具と,事前の準備が必要です。
まず板付けアイテムにつちてですが,こちらが今回用意した「着生用の板」です。
いろんな種類が流通していて,ただの板のようなものもありますが,こちらは水苔をテグスで固定する用の穴が開いて使いやすいです。
こちらが水苔とテグスです。コウモリランを板にそのままつけても着生しませんので,水苔が必須になります。水苔の固定用に耐久性があって,色も透明で目立たないテグスが一番良いと思います。
水苔はいくつか種類がありますが,ニュージーランド産のものが品質が良いようですね。
水苔の戻し方(推奨:板付け前日に準備)
水苔は乾燥して圧縮された状態になっているので,吸水させて戻した状態で使用します。今回はビニール袋を使った方法です。
そのやり方ですが,まずちぎって適量を確保します。水を吸うとボリュームが2~3倍増えるので,余裕をもって給水後の必要量の2倍くらいのボリューム(体積)を確保しておけば大丈夫だと思います。
これらの水苔をほぐします。その際,せっかくの長い繊維が切れないように注意します。
次に給水作業です。ほぐした水苔をビニール袋に入れて,計量カップで測った分量の水を入れていきます。分量はアバウトでよく,水苔1リットルあたり水100ml弱で良いです。
水を入れたら,ビニール袋を閉めて良くシャッフルし,水を全体に行き渡らせます。
水苔の繊維の芯までの吸水を促すために,数時間放置します。ときどき最初に吸いきれなかった水を行き渡らせるために,様子を見てシャッフルを繰り返すと最終的に全てを均一に吸ってくれます。
水苔戻しの作業が完了したら,コウモリランの株分けと板付けの作業に移ります。
コウモリランの株分けと板付け
それではまず株分けの作業に取り掛かります。
株分け
土とか水苔など周囲が汚れるので,屋内外どちらで作業するにしても,このようなガーデンパレットがあると便利です。
株分け作業では,事前に株をしっかり観察することが重要です。
コウモリランの株は1つ1つ「成長点」を持ち,これを起点に「胞子葉」が生えます。この写真からも,2つの子株があることが分かります。
「成長点」は,こちらの拡大写真の真ん中に移っている,毛の生えた小さな突起状の部位です。この「成長点」が,「胞子葉」さらには株全体の成長の起点になるとても重要な部位です。
さらに裏側を見てみると,なんと先ほどの子株と背中合わせにもう1つ子株ができていました。さらに他の部位にももう1つ子株があり,計4つの子株がありました。
以降の作業は,「成長点」を傷つけないように慎重に4つの株分けを実施しました。
まずコウモリランを白のスクエア鉢から出します。
この角度で見ると,子株同士が見事に背中合わせに成長してしまっています。(こうなると根の完全な分離は不可能なのである程度の割り切りは必要です。)
当然のように,4つの株の根っこが絡み合っているので,なるべく切らないようにほぐしつつ,限界があるのである程度大胆にハサミで切って分解していきます。
悪戦苦闘してなんとか株分け完了です。
次に真ん中に見える一番大きな株を上で紹介した道具を使って板付けしていきます。残りの小株×3は,とりあえず水苔を敷き詰めた3号ポットに救出します。
コウモリランの板付け
メインの株について板付けをしていきます。
まず板付けの最終形をイメージして,「吸水済の水苔」を板に盛り付けます。
その後,コウモリランの根が触れることをイメージして場所を決めて,今後の成長促進のため緩効性の肥料を撒いておきます。
この際,注意したのでは上でも書いたコウモリランの「成長点」が上になるように板付けするということです。「コウモリラン」は成長点の下から新しい葉が伸びますので,上下が逆になる,成長点に葉が干渉したり成長への影響が懸念されます。
下の写真は成長点がちゃんと上を向くようにしています。
位置が定まったら、「テグス」を使って位置を固定してきます。この際,テグスの固定穴つきのこちらの板はとても使いやすかったです。
固定のコツですが,茶色の「貯水葉」は枯れ葉のようなものなので,水苔ともに本体固定に必要な場合はテグスで固定していきましょう。その際,重要な「成長点」には触れないように注意します。
こんな感じで,今回株分けした4株ともこのようにそれぞれ,板付け,ポット苗×3に植え替えることができました。ポット苗×3は余った水苔を敷き詰めて根をくるんでおきました。
板付けしたメインの株も既にイイ感じの雰囲気で壁に飾るのが楽しみです!
ちなみに,ここまで水苔を使ってなお,半分以上の水苔があまりました。余ったら,乾燥させて再利用できますので,風通しの良い場所で保管します。
ただ,もし悪臭がしたり腐ってしまったりしたら再利用できませんので潔く捨ててしまいましょう。
おしゃれに仕上がった板付けコウモリランを壁掛け!
話を元して,最後に「板付けしたコウモリラン」を壁付け掛けてみたときの様子です。
いかがでしょうか?
なかなかおしゃれに仕上がったかなと思います。個人的には思っていたよりかなり良い満足する仕上がりになったと思っています。今後は,霧吹きとうで成長の様子を見ながら大事に育てていきたいと思います。
また小分けした株たちももう少し大きくなったら板付けにしてみようかと思います。
まとめ
今回は人気の観葉植物の「コウモリラン(ビカクシダ)」について,その3年間の成長記録,株分け,板付けと盛りだくさんにお届けしてきました。実際育ててみて,「コウモリラン」は観葉植物の中でも丈夫で育てやすく,常緑でかたちもおしゃれな初心者向けの長く育てられる植物です。長く育てていくと,子株ができたり,仕立て方を変えてみたりしたくなるもので,そんなときに今回の記事が参考になれば幸いです。
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