今回は,『ツワブキ』についてです。キク科ツワブキ属の常緑多年草で,初冬にキクのような黄色い花を咲かせます。また,丸くて大きな艶のある葉が特徴的で大きくなると一枚30cm以上,株のサイズも1mくらいの大きさになります。暑さ寒さに強く,耐陰性もあるのでシェードガーデンでも育てられる植物です。
今回は裏庭に自生する「ツワブキ」の開花の様子を見て行きます。一方,ツワブキは植えてはいけない植物にあげられることも多く,実際の繁殖の様子と増えすぎるのを抑える方法も紹介します。
基本情報
種類 | キク科ツワブキ属 常緑多年草 |
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学名 | Farfugium japonicum |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 10-1月 |
最大草丈/横張り |
80cm/80cm |
耐暑性/耐寒性 | 強/強 |
毒性について
ツワブキは葉,花,茎が食用に使われることがあります。ただし生だと,アク(ピロリシンアルカロイド)、苦み(ポリフェノール)が強すぎるだけでなく,ピロリシンアルカロイドは毒性があるため,食用できません。鑑賞する分には特に心配ありませんが,食用にする場合は必ずアク抜きが必要です。また,小さな子どもやペットが誤飲しないようにも注意が必要です。
日当たり
日陰で育てるのが一般的ですが,日向でも育つようです。ただ株の雰囲気的にはシェードガーデンにあいますし,せっかくの高い耐陰性を生かしたいところです。
水やり
地植えの場合は降雨のみで水やり不要です。
病害虫
虫はあまりつかないですが,ヨツテンアオシャクという虫に葉に虫食いの穴を作られることがあります。
開花から種付けの様子
今回は,ツワブキの開花時期である11月から種になる12月までの様子を記録してみようと思います。ツワブキが自生しているのは,家の北向きにある裏庭です。家の陰になり日当たりは少ないので,ツワブキが日陰を好むことが分かります。
11月上旬
蕾ができ始めた頃から観察スタートです。太くて青々とした花茎が3本立ち上がってきていて,たくさん蕾をつけています。花茎は10月中旬くらいから伸び始めました。
11月中旬
開花しました。3本の花茎についた蕾が一斉に開花し,花数が多くてとても豪華です。
花のアップです。
開花はだいたい1ヶ月ほど継続しました。
12月下旬
年末には種ができました。タンポポそっくりの見た目で,種に綿毛をつけています。風が吹くと遠くまで種が飛ばされて土に着床すれば,また繁殖します。
1月上旬
綿毛のついた種は殆ど飛んでなくなりました。
さらに時間が経つと,先端の花の房部分も取れていきます。また,青々としていた花茎も枝のように固くなり,やがて折れて無くなります。
葉だけになった「ツワブキ」は翌秋にまた花茎を伸ばし11-12月の初冬頃に花を咲かせる,というサイクルです。
ツワブキの繁殖と大型化
ここからツワブキが「植えてはいけない」と言われる理由である「繁殖力」と「大型化」の様子を,裏庭の観察から続けて見ていきます。
こちらは5月上旬の同じ裏庭の別の場所です。
この時期は,発芽して1年目か2年目の小さな青々とした葉の小さな若い「ツワブキ」を至るところで見かけます。
この写真はほんの一部で,10m四方の裏庭に十か所以上に小さな苗ができています。
抜き取ってみると,このように短期間で根づいて成長していることが分かります。
繁殖の理由は,地下茎による広がり,こぼれ種と2つあります。
地下茎の広がりは主には株の大型化につながりますので,今回の見たように株が至るところに増えるのはこぼれ種によるものです。綿毛で風に乗って飛んでいくので,広範囲に拡散して繁殖しやすいです。
株が大きくなり過ぎる
ツワブキは多年草なので毎年成長して大きくなります。年数の経過した株ほど大きくなり,株は横張り80cmくらい,葉は30cm以上になります。花が咲いているときは良いのですが,花がない時期には存在感があり過ぎて見た目の良いものではありません。
繁殖して何株もできたら猶更です。
繁殖・大型化で困る場合の対処
そこで、繁殖し過ぎて困る場合の対処としては,少し面倒ですが花が終わったら種をつける前に花がら摘んでしまうことです。実際に増えてしまった株については,少し可哀そうですが,抜き取って処分することも必要です。
また,大型化については根止めできるようにスペースに植えたり,場合によっては鉢植えにすることも必要です。
最近では,大型化しない品種や大型化してもおしゃれな斑入り葉の品種も作出されています。
まとめ
今回は,初冬に黄色に花を咲かせる風物詩「ツワブキ」について紹介しました。実際に我が家の裏庭に自生する「ツワブキ」を例に,開花の様子と種付け,繁殖の様子を紹介しました。「ツワブキ」が持つ毒性と,放置管理すると大きくなり過ぎたり,勝手に繁殖したりすることから「植えてはいけない」と言われることがあるようですが,キチンの対処すれば日陰で育ち常緑・丈夫な貴重なシェードガーデン向きの植物だと思います。