今回は「オレガノ・ケントビューティー」の育成記録についてです。
「オレガノ・ケントビューティー」は「オレガノ」の園芸品種です。園芸品種なので食用には適さないですが,葉にはしっかりオレガノ特有のハーブの香りがあります。鑑賞価値も高く,段々に重なっピンクのガクの隙間から,ピンクの小さな花を咲かせます。
我が家では,暑い7月に「オレガノ・ケントビューティー」の苗を購入し,南向きの庭の花壇に地植えしました。暑さに弱い「オレガノ・ケントビューティー」には過酷な環境でしたが,無事,夏越し,その後の冬越しもでき,2年目の今年の夏の初めにも,開花を確認することができました。
基本情報
種類 | 草花 ー 多年草 ー 宿根草 |
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学名 | Origanum ‘Kent Beauty’ |
花色 | 紫 |
開花時期 | 5月~7月、9月~11月 |
最大草丈 | 30cm |
耐暑性/耐寒性 | 普通/強 |
オレガノ・ケントビューティーは観賞用の品種
一般的なオレガノは,強い独特の香りがあり,食用にも使われます。一方,「オレガノケントビューティー(Kent Beauty)」は,観賞用の園芸品種である「ロタンダフォーリア(Origanum rotundifolium/rotundifolia)」を交配親とした改良品種のようです。そのため,「ケントビューティー」も同じく園芸品種で,食用には適さないようです。ちなみに,交配親の「ロタンダフォーリア」も園芸店で良く見かけます。
さらに脱線すると,この交配親の名前,何かと曖昧な園芸界らしく,「ロタンダフォーリア」,「ロツンディフォリウム」,「ロタンディフォリウム」など,全然違う名前で呼ばれています。いずれも英名(rotundifolium/rotundifolia)の日本語読みの違いで生まれたものと推測されますが,実際のところ一番英語の発音(rotundifolium/rotundifolia)に近いのは,『ロタンダフォリアム/ロタンダフォーリア』です。
香り
園芸品種だからということか,ネットの解説などで,「オレガノ・ケントビューティーは香りが殆どない」「ほのかな香りがある」などの記述を良く見かけます(本当に育てたことがあるのだろうか?と疑問。。)。実際は,そんなことはなく,はっきりとした強いハーブの香りがします。
日当たり
日当たりを好みますが,真夏の暑さの蒸れには弱いです。特に,真夏の長時間の直射日光は避けたほうが良く,葉焼けしてチリチリになってしまいます。
冬は地上部が枯れますが,耐寒性は高いので冬越しできます。
水やり
オレガノ・ケントビューティーは乾燥には強く,地植えの場合は水やり不要です。
成長記録
オレガノ・ケントビューティーの3号ポット1つを,南向きの庭にある60cmくらいの高さのある花壇の『ハーブエリア』に地植えしました。オレガノ・ケントビューティーは垂れるような形で成長するので,花壇の手前側に植えてみました。日当たりはかなり良くて,高温多湿に弱いオレガノ・ケントビューティーには少し不安な場所です。
2021年7月
こちらが庭の花壇に植え付けた直後の様子です。大きさは横幅,高さとも10cmくらいです。
ハーブエリアということで,左隣には同じハーブ(低木)の「タイム」,左上には「ローズマリー・モーツァルトブルー」が植わっています。また上に見える小さな花はミントの仲間の「カラミンサ」です。
2021年8月
苦手な真夏がやってきました。まだ植えて1ヶ月ですが早くもダメージがあり,一部で葉焼けして茶色くチリチリになってしまっています。
ただし乾燥にはそこそこ強いので,地植えであればむやみに水やりは不要です。
ちなみに右隣に植わって青紫の花は,1年草の『スーパートレニア』です。こちらは夏に強いので,比較的元気なようです。
2021年12月
だいぶ気温の下がった12月下旬頃です。夏場のダメージもあり,秋以降も地上部は小さくなる一方で,この時点では株元に秋に生えた新芽が残るのみ,となってしまいました。
新芽?もとても小さくて,成長後の葉とは形も違うので,たまたま同じ場所の生えた雑草なのか区別できず。。
秋に生えた新芽だろう,と信じて,絶やしてはいけないと大事に保護しておきました。
2022年3月
真冬が終わり3月になりました。結局数本残った新芽らしきものも,冬の終わりには枯れてしまい,オレガノ・ケントビューティーの株自体もダメかなと思っていたところ,株元から新芽がいくつも出てきました!12月に見た新芽らしきものとは形も違うので,そのときのはただの雑草だったのかもしれません。。
2022年6~7月
春以降新芽が伸びて株も成長し開花シーズン6~7月の開花シーズンになりました。我が家では,6月下旬頃から開花しました!(写真は7月上旬です)
ピンクのガクの中にピンク小花があるのですが,この角度からは少し見にくいです。
向きを変えたのがこちらの写真です。相変わらず見にくいですが,ピンクのガクの間から小さなピンクの花を確認できました。
2022年11月
この年は6月下旬に梅雨明けして夏が異例の長さだったので,例によって夏場にダメージを受けて,地上部がかなり減少してしまいました。そのため,結局今年も秋の開花も見ることができませんでした。
ですが,これ以上ない厳しい夏を無事に乗り切れたので,今後は夏越し,冬越しの心配なく,安心して成長を見守れます。毎年同じ場所で「オレガノ・ケントビューティー」の香りと花を楽しめると思うので,今回ハーブエリアにお迎えして良かったなと思います。
まとめ
今回は,ハーブの定番オレガノの園芸品種『オレガノ・ケントビューティー』を育ててみました。実際育ててみて,花の四季咲きまでは確認できませんでしたが,6~7月の開花と,苦手な夏場の高温多湿を乗り切って,毎年咲いてくれるハーブになりそうです。低木のハーブではローズマリーやタイムなどがありますが,多年草ハーブで鑑賞価値が高いものはあまりないので,貴重な植物だと思います。
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